殺人とセックスと食事が同列であることーヒメアノ〜ル見てきました
以前の記事からだいぶ時間がたってしまいましたが、とりあえずヒメアノの感想を書かねばと思い、溜め込んだ記事は後日またUPしていきます。
やっと公開!森田剛単独初主演『ヒメアノ〜ル』
5/28にやっと公開されました。
私はメインストリームのものより、どちらかといえばこういったサイコサスペンスやサブカル寄りの作品が好きなので、そんな趣味ドンピシャのところに出演してくれる森田さんが見れるとは思いもよりませんでした。
とっても余談ですが去年見た映画で一番良かったのは「ザ・トライブ」!。
洋画っていうか海外の映画というくくりですね。アベンジャーズはなんというか、あまり頭を使って見ない映画なので好きなんですが、ちょっと違うんですよね…。
「ザ・トライブ」は女性にはかなりしんどいシーンもあって二度と見たくない映画ですが、とても良い映画ではあるので興味がある人は是非。
あらすじと感想(ネタバレ有り)
あらすじはこちら。
「なにも起こらない日々」に焦りを感じながら、ビル清掃会社のパートタイマーとして働く岡田(濱田岳)。同僚の安藤(ムロ ツヨシ)に、想いを寄せるユカ(佐津川愛美)との恋のキューピット役を頼まれ、ユカが働くカフェに向かうと、そこで高校時代の同級生・森田正一(森田剛) と出会う。
ユカから、森田にストーキングされていると知らされた岡田は、高校時代、過酷ないじめを受けていた森田に対して、不穏な気 持ちを抱くが・・・。岡田とユカ、そして友人の安藤らの恋や性に悩む平凡な日常。ユカをつけ狙い、次々と殺人を重ねるサイコキラー森田正一の絶望。今、2 つの物語が危険に交錯する。
※公式より引用
𠮷田恵輔監督の作品は今作が初めてでしたが、塚本組で照明も(勉強のために)されてたとのことで、その経験が遺憾なく発揮された作品でした。
序盤、若干の不穏な空気を残しながらもポップなラブコメ調で話は展開していきます。
ラブコメでは定番設定ですが、冴えないモテない童貞男子(岡田/濱田岳)が可愛い女の子(ユカ/佐津川愛美)になぜか好かれ、キモい先輩(安藤/ムロツヨシ)はぐぬぬしながらも諦めてはくれないため、彼女と先輩の板挟みになりながら、恋を楽しんでいたーー。前半を見るだけなら本当に笑いどころ沢山のラブコメでした。
それが中盤になり、画面がダークトーンになるのと同時に、今までの話が序章だったことがわかります。タイトルバックが不気味に挿入され、そこからは一気に暗く重いトーンに。
ある瞬間から、楽しい日常が森田(森田剛)とういう存在がきっかけで歪みはじめます。
日常のなかに忍び寄ってきた【異常】が、照明が切り替わるのと同様、重く陰湿なタッチで展開していきます。
日常のレイヤーに殺人とセックスと食欲が存在する気味悪さ。
今回は吉田監督が脚本も書かれていたからなのか、この映画には無駄な時間は1秒もありませんでした。間延びするシーンは一切なかった!
快楽殺人者なので殺人=性的快感を感じるのがセオリーですが、それもきちんと描かれていました(一番始めの殺人の描写の部分)。食欲と性欲と睡眠欲が人間の三大欲求ですが、森田にとって殺人は性欲と直結するものです。自分の欲求に素直に従い、淡々と人を殺し犯し、そこで食事もする森田の不気味さ。
でもパチンコ屋で目をつけられて金を巻き上げられる彼は結局弱者のままです。そう、彼はずっと『弱者』のまま展開していくのです。これは秀逸でした。
駅で鬱憤をはらすように看板を蹴っていると、それを見ていた女に笑われ、その女を欲望のままに強姦(未遂?)し殺す。
彼が自分の欲望を完遂するためには力こそが必要だということを今までの経験で学び、それがどんなに破綻していようが、関係ない。
ただただ自分に忠実な、森田の空虚な目はガラス玉みたいで綺麗でした。
『ダークヒーローではなく、悪いものとして突き放して』表現されていましたが、本当に共感できない部分しかない、とは言い切れませんでした。
だって最後のシーンで、森田にとってはハッピーエンドの映画になってしまったから(と個人的には思います)。
ここが監督の言われていた『良い人の部分が出ちゃった』ところだったんですね。
私はそれで良かったんだと思いました(受けとめ方は自由)。
面白いか面白くないか、といえばとっても面白かったです。
だからと言って万人にはお勧めはできないですが、できることならたくさんの人に見てもらいたい作品となりました。
狂気を表現する森田剛をぜひ!映画館で!!!(勝手にプロモーション)
ちょっとイっちゃった森田剛を映画館で見ることができるよ!
自担の話で申し訳ないのですが、私は若い頃の森田さんの、読めない目がとても好きでした。
カミセンでドラマをやるときは大概一本気の曲げられない性格で苦労する不器用な役のイメージが強く、主役クラスで扱われるときは大概『何も考えてなさそうで実は芯が通ってる』みたいな、昭和のアイドルにありがちな設定でした。
でもフジでやっていた『ランチの女王』に出てきた修史は、蜷川さんが仰っていた『野鼠のような』どこか目の奥が虚ろな、影のある役。
私が森田さんの役のなかで一番好きなのはこの修史です。
ただ、これはたまたまタイミングが「ハマった」だけでした。もちろん森田さんが元々持っていた素養なのですが、その片鱗が一瞬、まぐれで見れただけです。
その後は、舞台を経て、その奥にあった『えも言われぬ影のある森田剛』をいのうえさんや亜門さん、蜷川さんらに引っ張りだしてもらったんだろうと勝手に思っています。
そしてその狂気を自在に演じることができる森田剛が、サイコキラー森田を演じることになりました。
虚ろな目、ぼんやりと開いた口。何を考えているのかわからない顔。「普通にすることに徹した」とインタビューで答えていたように、森田剛の演じる「森田正一」は殺人もセックスも食事も日常の些細なことに見えました。
震えました。
そう、こういう森田剛が見たかった!
舞台ではなく、大きなスクリーンで見れるんです。狂気の森田剛が。
『リスクの神様』だと少し影のある、秘密を抱えていそうな役でしたが、もっと破綻してる役が見てみたかったので、とても嬉しく思いました。
これからどんな新しい森田剛の面を見れるのかとても楽しみです。
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