ビニールの城の感想 唐十郎の夢の中の話
というわけで、森田さんの舞台、ビニールの城3日目を観に行ってきました。
風邪を引いていたのですが熱も下がり、絶対行きたかったので無理をし更に睡眠を削られた結果、今朝から熱が上がりまたベッドの海でもがいておりますが、1回目の感想をば。
アングラ演劇の最高傑作とかいう煽り、どうでもいい
disってるわけではなく、そんな背景を知らなくとも楽しめます。もちろん唐十郎さんですから、言葉がすっと入ってくるなんてことは無いです(ある!という人はそもそも色んなことを知ってる人なので、除外します)。
私は演劇はもちろん、文学や政治的な思考、背景などに詳しくありません。蜷川さんの舞台を映像でいくつかは見たりしているものの、好きな作品はあれど難解でわかり難いものもありましたし、今回は唐十郎さんの脚本ということで『私にわかるんだろうか』と思う気持ちもありました。
舞台は小さな箱のある『とある世界』をのぞきに行く旅
森田さん演じる「朝顔」は生身の人間との接触ができず、「遠くからきた人」の人形との対話でしか生きる世界を構築できません。
場面最初で少しの間距離を置こうと言って倉庫に置いてもらった「夕顔」を探します。たくさんある中で必死に夕顔を探す朝顔。不安定なその佇まい、自分の夕顔への想いを吐露するも鼻で笑われ、所詮は人形よと一蹴されます。
そして激しく鳴り響く音楽で舞台は転換し、浅草の神谷バーへと移ります。
そこには赤子を背負い新聞紙で顔を隠した女――モモがいます。
細かいところは端折りますが、そんな朝顔と、朝顔に想いを寄せるモモ、そんなモモを愛するが故に自分を人形と混同していく夕一……。3人を取り巻く奇妙でへんてこな人々。
正直、一体何を言いたいんだ?と思う箇所は何個もありました。台詞が多過ぎて飲み込めない。ただ見終わった後、振り返ればじわじわと襲ってくる切なさやおかしさは、舞台の世界に引き込まれたことだけを感じさせます。
パンフレットを見ると、荒川さんが金さんに「これは唐さんの夢の中の話だよ」と言われたと書いてあり、それで腑に落ちました。
そう、これは唐さんの夢の中の出来事を具現化した舞台。だから私が完璧に理解なんてできるはずもなく、ただ見たものを見たまま感じていればいいのだと思いました。
世界を構築していく俳優達
森田さん目当てとは言え、本来であれば蜷川さん演出の元に上演される予定だった舞台だったので期待はしていました。
もちろん期待どおり!
森田さんは髪を黒髪にし、不安定な水の中をふよふよと泳いでいるような、一つ膜をはった世界にいる朝顔そのものでした。少年とも青年ともつかないその佇まい、隅の隅で世界をうろん気に見ているような表情。
その朝顔に想いを寄せるモモは宮沢りえさん。少女のように可憐なのに見てはいけないものを見たような気にさせてしまう、ちょっと不思議で蠱惑的な女性。顔を見るまでは宮沢さんだとは思いませんでした。私が知ってる宮沢りえじゃないんですもん…。
ただそのモモに純粋に愛を捧げている荒川良々さんは、荒川さんでしかなかった!(褒めてます)朝顔と夕一の掛け合いは笑いもあり、荒川さんしかできない「夕一」だったんじゃないかと思います。
そして六平さん。強い存在感で舞台全体を締めていきます。私はキャスティングをよく見ていなかったので、劇場で「あ、六平さんだ」と気づいてびっくりしました。新宿梁山泊の旗揚げにも参加していらっしゃったんですね…金さんの片腕的な存在だからこそのこの舞台を支える一番の屋台骨の気がします。
他江口さんやフリークスな俳優さんがその舞台の骨を組み立て、幕を貼り『ビニールの城』を組み上げていきます。
舞台俳優「森田剛」にフォーカスしてみる
以前友人が、ヒメアノ〜ルを見て『煽られてるからもっとすごいかと思った。舞台の彼を知ってるなら驚きもなにもしない、もっともっとやれる人でしょ』と言っていました(意訳)。彼女は別にV6が好きでも森田剛が好きでもない、演劇が好きな方です。
今回の舞台を見て、私は「本当にそうだね」と返すことがやっとできそうな気がします。
独特な空気感や表情、声のトーン。どこか世間をななめに見ているような、居場所のない感じ。一つの板の上で『主役』を張るには充分だと思い、彼が『森田剛』であることをいい意味で忘れさせてくれました。
コンDVDを見て本当に同一人物かなと思うような、妙な違和感さえあります。
面白い!
舞台は恐ろしい
何事も『生』のエネルギーとは怖いものだなぁと感じさせられました。
俳優陣のパワーが、生の舞台だとびんびん心を打ち叩いてきます。田舎者の私はCSやDVDで見ることの多かった舞台の世界ですが、ここにも大きな沼が口を開けて待っているとは恐ろしいことです(まんじゅう怖い的な意味で)。
せっかくならばたくさんの人に見て欲しいなと思うのですが、如何せんキャパの問題もあり厳しそうではあります。なので映像化を切に願います。
これから行く人は覚悟して観に行きましょう(笑)!
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なんでカミセンの曲も病み付きになっちゃうのか考えてみた
少し前にはなりますが、6/8にV6の新曲『Beautiful World』が発売になりました。
V6の歌声はくせになる、と以前書きましたが、トニセン・カミセンの声もそれぞれ魅力があり素敵な曲がたくさんあります。
今回の通常版にはトニカミの新曲が入ってるので、それぞれについても病み付きになる理由と、新曲のレビューをしてみます。
なんでカミセン(Coming Century)の曲も病み付きになっちゃうのか
続きを読む殺人とセックスと食事が同列であることーヒメアノ〜ル見てきました
以前の記事からだいぶ時間がたってしまいましたが、とりあえずヒメアノの感想を書かねばと思い、溜め込んだ記事は後日またUPしていきます。
やっと公開!森田剛単独初主演『ヒメアノ〜ル』
5/28にやっと公開されました。
私はメインストリームのものより、どちらかといえばこういったサイコサスペンスやサブカル寄りの作品が好きなので、そんな趣味ドンピシャのところに出演してくれる森田さんが見れるとは思いもよりませんでした。
とっても余談ですが去年見た映画で一番良かったのは「ザ・トライブ」!。
洋画っていうか海外の映画というくくりですね。アベンジャーズはなんというか、あまり頭を使って見ない映画なので好きなんですが、ちょっと違うんですよね…。
「ザ・トライブ」は女性にはかなりしんどいシーンもあって二度と見たくない映画ですが、とても良い映画ではあるので興味がある人は是非。